インテリアのカラーコーディネートとは、部屋を美しく演出するために色の組み合わせを計画的に行うことです。
しかし、「部屋をおしゃれにしたいけど、家具やカーテンはどの色を選べばよいのかわからない」と、悩んでいる方も多いです。
インテリアの配色を意識せずに、好きなものを集めていると雑多な空間になってしまいますよね。
本記事では、インテリアの基本的なカラーコーディネート方法や色の特徴、インテリアスタイルや部屋別のカラーコーディネートを紹介します。
元インテリアコーディネーターで、数100件にのぼる住宅のインテリアコーディネートを行ってきた経験を元に解説します。
本記事を読むと、インテリアカラーを整えて素敵な部屋を作れるようになるでしょう。
インテリアカラーコーディネートの基本
適切なカラーコーディネートは部屋全体の印象に大きく影響を与え、住む人の心を落ち着かせたり、活力を与えたりする効果も期待できます。
そのような、インテリアのカラーコーディネートで検討すべきなのは、以下の基本的な内容です。
・色数は3〜5色
・色決めの順番は大きなものから
インテリアの配色割合
インテリアのカラーコーディネートにおいて、配色バランスは非常に重要です。
色の割合を意識することで、空間全体のバランスを美しく整えられます。
部屋の配色バランスは以下の3種類に分けて検討しましょう。
- ベースカラー:70%
- アソートカラー:25%
- アクセントカラー:5%
上記の「70:25:5」の比率は配色の黄金比率と呼ばれています。
ベースカラーは部屋の基調となる色で、主に床・壁・天井などの最も面積が広い色のことです。
アソートカラーは、ベースカラーの次に面積が広く、部屋のバランスを整える色として使用します。
アソートカラーとなるものは、以下の通りです。
- カーテン
- ソファ
- ラグ
- 大きめのダイニングテーブル
アクセントカラーは、目立つ色を使って空間を引き締めたり視線を誘導したりします。
アクセントカラーに使用するアイテムは、クッションや絵画、インテリアグリーンなどがおすすめです。
部屋の色数を3〜5色にまとめる
統一感のあるおしゃれな部屋を作るために、色数は3〜5色でまとめましょう。
色数が少ないほどシンプルな空間になり、美しい部屋を作りやすくなります。
同じ色でまとめるのが難しい場合、同系統の色でまとめるとバランスが崩れにくいのでおすすめです。
<例>
【カーテンを濃いブラウン色にして、ソファも同色にすると部屋が暗くなりすぎてしまう】
このようなときは、「ソファをカーテンよりも明るめのブラウン色にする」という方法も1つの手段です。
別の色に変更するのではなく、同じ色味の濃淡の違いで色を選びなおすと統一感のあるきれいな部屋を作りやすくなります。
また、同じ色でも素材が変わると色の印象も変わるため、家具やベッドなどは実物を見て選びましょう。
例えば、以下のように素材によって色の印象は大きく異なります。
- 木製テーブルのブラウン
- 本革のソファのブラウン
- 毛足の長いラグのブラウン
- カーテン生地のブラウン
素材の印象に注意しながら色数を絞り込み、心地よい部屋を作りましょう。
色決めの順番は大きなものから
部屋の色決めは、面積の広いものから順に考えましょう。
基本的には、前述したベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーの順に決めます。
2 カーテン・ソファ・ラグ
3 テーブル・チェア・テレビボード
4 クッション・インテリアグリーン・オブジェなどの雑貨
インテリアのカラーコーディネートは、面積の広い部分から色を決めていくことで空間全体のバランスを整えやすくなります。
また、色の組み合わせをイメージしやすくなるため、色選択の失敗を防げます。
照明による色の影響
インテリアのカラーコーディネートにおいて照明の色は重要な要素です。
照明の明るさや色、質によって部屋の見え方が変わります。
照明の色
照明の色は、色温度によって変わります。
色温度はK(ケルビン)という単位で表記され、数字が大きいほど白色の光になり、数字が小さいほどオレンジ色の光になります。
色温度による違いは以下の通りです。
色味 | 色温度:K(ケルビン) | 特徴 |
---|---|---|
昼光色 | 約6,500K | 青みがかった白い光。最も明るい。 |
昼白色 | 約5,000K | 自然光に近い明るさの白い光。 |
温白色 | 約3,500K | 白い光とオレンジ色の光の中間色。落ち着いた明るさ。 |
電球色 | 約2,700K | 最も温かみのあるオレンジ色の光。 |
白色の光は明るく、空間をシャープでスタイリッシュな雰囲気に演出します。
また、物や文字がはっきりと見えやすいため、読書や細かい作業の場にうってつけです。
一方で、明るさによって眩しさや寒々しさを感じてしまう可能性があります。
オレンジ色の光はあたたかみがあり、リラックスしやすい雰囲気を演出できます。
ただし、夏の時期は暑さを感じやすくなってしまうため注意しましょう。
演色性
演色性とは、光源が物体の色をどれだけ自然に再現できるかを示す指標で、演色評価数(Ra)で表されます。
演色性が高いと自然な色合いを再現できるため、照明の光が当たるとはっきり美しく見えます。
より美しい部屋作りのために、照明の演色性を考慮しましょう。
色の特徴を知る|色の基本属性とは?
色の特徴を理解すると、家具などの色選びが楽になります。
色には、3つの属性があります。
・色相
・明度
・彩度
これらの属性は互いに関連し合っており、色の印象を大きく左右します。
色相
色相とは赤・青・緑など、普段認識している色のことであり、色の種類を表します。
色相を円形に配置した「色相環」というものがあり、色相の関係性を確認できます。
隣り合う色は調和し、反対の位置にある色は補色の関係になる、など色の関係性を確認できます。
【色相環】
明度
明度とは、色の明るさを表す度合いです。
白に近いほど明度が高く、空間を広く明るく感じさせます。
一方で、黒に近いほど明度が低くなり、空間を落ち着かせ高級感を演出しやすくなるでしょう。
例:淡いピンク(明度が高い)、濃いワインレッド(明度が低い)
彩度
彩度とは、色の鮮やかさを表す度合いです。
鮮やかな色は彩度が高く、グレーに近い色ほど彩度が低くなります。
彩度の高い色はアクセントカラーを作りやすいため適度に入れてみましょう。
一方で、彩度の低い色は空間を落ち着かせ、リラックス空間を作りやすい色です。
例:鮮やかな赤(彩度が高い)、くすんだ赤(彩度が低い)。
人気のインテリアスタイル別カラーコーディネートのコツ
インテリアスタイルによって使用されやすい色や、イメージカラーが異なります。
インテリアスタイルに統一感を出すためにも、以下のカラーコーディネートのコツを確認しておきましょう。
・北欧スタイル
・ナチュラルスタイル
モダンスタイル
モダンスタイルは、モノトーンやグレーなどの無彩色(白・黒・グレー)を基調とします。
アクセントカラーには、鮮やかな赤・青・緑などを取り入れるのが簡単でおすすめです。
モダンスタイルはシンプルな空間であり、家具やカーテンなどはシャープな形状やデザインが特徴的なインテリアスタイルです。
インテリアの素材にはガラスや金属など、光沢のある素材を使用することで、洗練された印象を与えます。
北欧スタイル
北欧スタイルは、白や薄いグレー、明るい木材の色などを基調として、アクセントカラーにパステルカラーやビビットカラーを取り入れるのがおすすめです。
自然素材を活かした、あたたかみのある明るい空間が印象的なインテリアスタイルです。
北欧スタイルでは、木製の家具や自然素材のラグなど、ぬくもりを感じる素材を使用することで心地よい空間を演出します。
また、オレンジ色の光を持つ間接照明を取り入れ、明かりと影のデザインを楽しむインテリアです。
ナチュラルスタイル
ナチュラルスタイルはベージュやブラウン、薄いグリーンなどのアースカラーを基調としたインテリアです。
ただ明るいだけではなく、アースカラーの暗めの色を用いながら、自然な印象にするのがポイントです。
また、インテリアグリーンを空間のアクセントとして設置すると、植物によるリラックス効果も期待できるでしょう。
空間に応じたカラーコーディネートのポイント
部屋ごとに過ごし方が異なるため、カラーコーディネートのポイントも異なります。
以下の部屋のカラーコーディネートについて、ポイントを紹介します。
- リビング
- 寝室
- 子ども部屋
リビング
リビングは家族が集まる空間であり、くつろぎとコミュニケーションの場です。
そのため、明るく開放的な雰囲気にすることがおすすめです。
リビングのカラーコーディネートでは、白やベージュ、明るめの薄いグレーなどを基調として、アクセントカラーにはインテリアスタイルに合う色を選びましょう。
特にソファとカーテンの色は注意して選びましょう。
視界に入る面積が広いため、部屋のアクセントにするのか部屋に馴染ませるのかによって部屋の雰囲気が変わります。
クッションや絵画などの小物には、アクセントカラーを使用することでバランスの取れた空間を作れます。
寝室
寝室は、リラックスして眠るための空間なので、落ち着きのある空間を作るのが大切です。
おすすめのカラーコーディネートは、色数を少なくして低彩度のカラーを軸としたコーディネートです。
リビングと比べると寝室は狭い空間になる傾向があるため、圧迫感を感じないように色数を3色程度に絞りシンプルな空間にしましょう。
また、低彩度の色味は落ち着いた色が多いため、リラックスできる寝室を作れるでしょう。
カラーによる心理的な印象も踏まえながら決めることが重要です。
例えば、低〜中彩度のブルー系統の色は、空間を落ち着かせて心理的なリラックス効果を高めます。
また、暖色系の色を加えるとぬくもりのある寝室を作れるでしょう。
子ども部屋
子ども部屋は創造性を育む場なので、明るく楽しい雰囲気にすることが重要です。
そのため、カラーコーディネートはイエローやオレンジなど、明るい暖色系の色を基調として、ほかにも高彩度のアクセントカラーを取り入れるのがおすすめです。
暖色系の色は、空間を明るく、活気のある雰囲気に演出します。
ただし、子どもは成長とともに趣味嗜好が大きく変わる傾向があります。
好きな色の感覚なども変化していく可能性があるため、変更しやすい部屋を作るのがおすすめです。
色の心理的イメージを活用したカラーコーディネート
単に好みの色を組み合わせるだけでなく、色の持つ心理的な効果を組み合わせてカラーコーディネートを行いましょう。
色の心理的効果を理解すると、インテリアデザインに取り入れて心地よい空間を作れます。
暖色系の心理的イメージ
暖色系の色には、以下の心理的なイメージがあります。
暖色系の心理的イメージ |
・あたたかさ ・ぬくもり ・興奮 ・活発 ・情熱 ・積極性 ・食欲増進 ・暑い、熱い |
上記のような前向き、能動的な心理作用があるため、リビングやダイニングなど人が集まる空間や活気のある空間におすすめです。
暖色系の主な色は、以下の通りです。
・オレンジ
・黄色
上記の色は、太陽を連想させる色でもあります。
太陽のイメージから、ぬくもりや明るさなどを想起させて暗いリビングになるのを防げます。
寒色系の心理的イメージ
寒色系の色には、以下の心理的なイメージがあります。
寒色系の心理的イメージ |
・涼しさ ・落ち着き ・リラックス ・集中力アップ ・食欲抑制 ・静的 ・寒い ・冷たい |
上記のように寒色系の色は、人や空間を落ち着かせる心理効果があります。
そのため、寝室や書斎など、リラックスしたい空間や集中力を高めたい空間におすすめです。
寒色系の主な色は、以下の通りです。
・青緑
・水色
上記の色は水や海辺などを想像させるため、清潔感や涼しさを感じやすい色です。
そのため、寒色系の色は清潔感が重要な、トイレやキッチンなどの水廻りにも向いています。
視覚効果を活用したカラーコーディネート
色は視覚に影響を与え、実際のものと見えているものを異なるように見せる効果があります。
この効果を利用すると、部屋の狭さや暗さなどを改善して快適な空間作りが可能です。
- 色の膨張と収縮
- 色の軽さと重さ
- 色の進出と後退
色の膨張と収縮
色は、視覚的に膨張して見えたり収縮して見えたりする効果があります。
人間の目の構造上、このように見えるのです。
例えば、白や明るい暖色系の色は、視覚的に膨張して大きく見えます。
一方、黒や暗い寒色系の色は、収縮して小さく見えます。
この効果を利用すれば、狭い部屋を広く感じさせたり、空間を過度に広く感じさせてバランスよく見せたりできます。
色の軽さと重さ
色には、視覚的に軽さや重さを感じさせる効果もあります。
明るい色は視覚的に軽く感じる一方、暗い色は視覚的に重く感じる傾向があります。
例えば、壁や天井のクロスに明るい色を使用すると、空間が広く軽やかに感じます。
一方で、床に明度の暗い色を使用すると、空間が落ち着き安定感を感じるでしょう。
色の進出と後退
色によっては、実際の位置よりも手前にあるように見せたり、後ろにあるように見せたりする効果があります。
例えば、白や明るい暖色系の色は、実際の位置よりも手前にあるように見え、黒や暗い寒色系の色は、奥に離れているように見えます。
この視覚効果を活用して、空間の奥行きを演出しましょう。
張地が暗い色のソファは、リビング扉から離れた位置に設置すると奥行きを演出でき、部屋が広く感じられます。
まとめ
インテリアのカラーコーディネートは、以下の内容を考慮することでより効果的におしゃれな空間演出が可能です。
・色数
・照明
・色の特徴
・心理作用
・視覚効果
色の組み合わせ次第で素敵なインテリアを作れます。
カラーコーディネートプランを事前に検討して、部屋に設置するものを1つひとつ慎重に選び、快適なインテリアライフを手に入れましょう。